運営メンバーにインタビュー!【第二弾 協賛代表 小林りこ】
背景 ~なぜ大学で社会学・哲学を学んでいるの?~
ー大学で、今は何を学んでいるのですか?
あえて一つに絞るなら、ジェンダー/セクシュアリティを取り巻く問題に興味があって、今は慶應義塾大学の総合政治学部(SFC)で社会学や哲学を学んでいます。
ージェンダーになぜ興味を持ったのですか?
中高時代から社会問題に広く関心があったのですが、どこか遠い出来事だと認識してしまっていたと思っていて、ジェンダー問題はそれが変わるきっかけになったと思っています。ある時から、自分もジェンダー問題、ひいては社会問題の構造の中にいるのと気がついて、自分も特に密接に関わる問題として強く関心を持っています。
ー中高時代は、何に興味を持って何をしていましたか?
中・高校生の時は特に国際問題に関心があり、学校での環境にも恵まれていたので模擬国連活動に打ち込んでいました。けれども、大会に参加する中で自分が問題を直視できているのかが引っかかるようになって。私は問題の渦中にいる方の目を見て話したこともなければ、その人の体験に向き合おうとしたこともなく、果たして自分は問題に向き合えているのかと、疑問に思うようになりました。
ーその後どのように活動していたのですか?
模擬国連での問題意識から、自分の手で身近な問題を解決するためにソーシャルビジネスに挑戦してみようと思いました。紆余曲折経て、「スポーツとジェンダー」に関する問題にアプローチしたいと考えました。インタビューを通じて問題の存在を確信し、私自身もアスリートとして生理について学ぶ機会は一度もありませんでした。そのため、アスリートが生理とうまく付き合えるようなサービス開発に挑戦していました。
ー今の学びにはどのようにつながっているのですか?
事業に挑戦する中で学んだことはたくさんあるのですが、自分ひとりで「解決しよう」と奮闘したからといって解決できるわけではないことを身をもって実感しました。そして、ジェンダーや差別の問題の構造や原因を学ぶ必要性を自分なりに痛感しました。
今は事業を撤退して、そもそも差別とは何か、なぜどのように問題は発生したのかなどを学ぶために、社会学と哲学を勉強しています。ジェンダーや差別の問題には、今度もずっと向き合っていきたいと思っています。
IHRPでの活動について
ーIHRPの運営に参加している理由はなんですか?
まずはそもそも、IHRPのメンバーが本当に自由で個性的で面白い人たちが多いので、それが何よりも楽しいということがあります。
そして、IHRPの活動で自分がこだわりを持っているポイントは「全国の高校生に機会を開くこと」かなと思います。自分が地方格差について何も考えずに過ごしてこられてしまい、都心で育つ中でたくさんの課外活動に挑戦できる機会があったことを強く意識していると思います。まだまだ問題の実情や背景について勉強不足ですし、認識も未熟だとは思うのですが、今の自分の立場を活用して、少しずつではありますが、どうしたら地方の高校生に機会を開いていけるのかを模索しています。IHRPを通じて地方の高校生の状況に向き合って、自分なりに研究を始めるサポートができたらという思いで活動しています。
ーIHRPでは具体的に何をしているのですか?
IHRPでは、企画リーダーと協賛を担当しています。
企画では、高校生がどうしたらIHRPの理念である異分野融合を実現しながら研究できるのか、その環境やプロセスを考えます。プログラム全体の設計やキャンプの企画/運営、個々のワークショップまで、すべての企画や運営のマネジメントを行っているチームです。
協賛では、IHRPの理念に共感し、活動を応援してくださる企業や団体とのつながりをつくることがお仕事だと思います。異分野融合は、IHRP単体ではなくさまざまな立場の方々のご協力があって成り立つ理念だと思っているので、IHRPの土台を作るチームだと考えています。
わたしが考える異分野融合とは?
ー異分野融合とはなんだと思いますか?
自分もまだまだ模索中ですが、自分が見ているものに対して異なる側面があると気がつくことが異分野融合の第一歩なのではないかと思っています。私が学んでいるジェンダーも学際的な分野だと思っていて、政治や行政での解決法だけでなく、思想や哲学、ビジネスやファイナンスなどさまざまなアプローチがあります。
また、私の通う大学は少し特殊な環境で、自分と全く異なる分野の勉強をしている人がいます。それもあって、大学の友人とは同じ場所に行っても全く視点が異なることが多くて異分野融合を実感することがあります。図書館に行っても著者経歴を見ている人と本のグラフィックを見ている人がいたり、同じ展示を見に行ってもアートの手法に着目している人とコンセプトの理論的背景に着目している人がいたりして、その視点を組み合わせて考えていくのはとても楽しいです。
IHRPでも、実は自分のテーマと誰かのテーマがつながっていることに気がつく機会が多くあるのではないかと思っています。
わたしにとってIHRPのプログラムとは?〜思い描く未来〜
ーIHRPの特長はどこにあると思いますか?
IHRP独自の良いところとして、新しいからこそ変わり続けられるということが挙げられると思います。型があってそれを継承するのではなく、皆で根本的な部分から考え直しながら新しい形を模索し続けることができます。
また、プログラムを全て大学生が作っているので、対象である高校生と目線が近いこともひとつの強みかなと思っています。
ー今後IHRPにどのように向き合っていきたいですか?
今の社会について、学べば学ぶほど問題が複雑に絡み合っていることを実感しています。しかしだからこそ、ひとりで解決しようとするのではなく、さまざまな分野でさまざまな人が取り組みながら異分野融合していくことが必要なのではないかという思いも強くなっています。
IHRPを通して社会の複雑な問題に向き合っていく人たちを増やしていけたら、そして協力しながら問題解決に取り組んでいけたらと思っています。自分もまだまだ勉強不足なので一緒に学びながら、高校生たちが思う存分考えて、時に立ち止まりながらも自分なりに一歩踏み出せるように、サポートしていけたらと考えています。